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たくあんに添加物が使われる理由

たくあんは添加物が多く使われる食べ物として知られていることがあります。

実際に、たくあんには添加物が多く使われています。

近年は、食品添加物(合成着色料や保存料など)の健康への被害の研究などの影響もあり、無添加の食品に注目される場面が増えてきています

しかし、それでもたくあんをはじめとする漬物、あらゆる食べ物に食品添加物が使われ続けています。

その理由について、たくあんに関する事例でご紹介します。
(食品添加物を使うことが良いor悪いという記事ではありません。食品添加物が使われる理由を客観的に書いた記事です。)

食品添加物とは何か

まずは、そもそも食品添加物とはどのようなもののことなのかについてです。

一般的には、食品の原材料名表示のスラッシュ(/)以降の部分を食品添加物として定義しています。

赤字部分が食品添加物

食品添加物の分類

「食品添加物」という括りだとぼんやりとしているので、3つの切り口で分類してみます。

  • 天然 or 合成
  • 用途別(保存料 or 着色料 or 調味料 or 酸味料など)
  • 目的別(嗜好目的 or 品質目的 or 栄養目的など)

ここでは詳しく書きませんが、「味の素」さんの記事でとてもわかりやすく解説されているので、気になる方は是非読んでみてください。

ホントに知っていますか?食品添加物のこと




たくあんに使われる添加物

ここからが本題です。

たくあんに使われる食品添加物は大きく6種類に分けられます。

  1. 調味料
  2. 甘味料
  3. 酸味料
  4. 着色料
  5. 保存料
  6. 香料

それぞれの目的について説明していきます。

1.調味料

調味料は、主にうま味を増しておいしく感じられるようにする目的で使われます。
どうしても野菜(大根)を主材料としているので、育つ環境(天候や土壌など)によって味を一定にすることが難しいです。そこで味の品質を一定に保ち、おいしく感じてもらうために使われます。

原材料名表示では、「調味料(アミノ酸等)」と記述されます。

詳しくはこちらの記事で解説しています。

【たくあんの添加物】調味料(アミノ酸等)とは?



2.甘味料

甘味料は、たくあんに甘さを足して食べやすくする目的で使われます。
たくあんは、保存性を高めるために製造工程で塩を使います。塩分が高いので塩辛く感じてしまう方が多いです。その塩辛さを打ち消すために甘味料で甘さを足して、塩辛さを感じにくくする目的があります。

また甘味料を使用しない場合は、砂糖を使うという選択肢になるのですが、砂糖だと糖尿病を心配される方にはおすすめできないので、甘味料なら食べやすいというメリットもあります。

主に「ステビア」や「アセスルファムK」、「サッカリンNa」、「甘草」などがあります。

詳しくは別の記事で解説します。



3.酸味料

酸味料は、酸性に近づけて保存性を高める目的で使われます。
たくあんなどの漬物をはじめとする食品は、腐敗や食中毒と隣り合わせにあります。腐敗を防ぐための方法の一つとしてpHを下げるということがあります。pHを下げて保存性を高めるのが酸味料を使用する目的の一つです。

酸味料は「pH調整剤」と記載される場合も中にはあります。

主に「リンゴ酸」や「クエン酸」などの果実酸が使われることが多いです。
果実酸は、野菜や果実に多く含まれる酸味成分です。

詳しくは別の記事で解説します。



4.着色料

着色料は、たくあんの見た目を良くする目的で使われます。
たくあんは、ぬか床で漬け込む際に、酵素の影響で黄色に変色します。(変色する理由については下の記事で解説しています。)

【なぜ?】たくあんが黄色い理由


変色の特性として、大根の収穫時期が冬で、夏に流通するたくあんと、秋に流通するたくあんでは均一な色にならないことや、大根の辛味成分の含有量などに影響され、必ずしも均一な黄色になりません。そうなると陳列した際に優劣が出てきてしまいます。そこで全てのたくあんがなるべく同じ色の品質になるように着色料が使われます。

着色料は天然着色料と合成着色料とに分かれています。

主に「クチナシ」や「ウコン」の天然着色料、「黄色○号」と記載される合成着色料が使われます。

詳しくは別の記事で解説します。



5.保存料

保存料は、保存性を高める目的で使われます。
たくあんは、賞味期限の長い食べ物ですが、開封後は早く食べないと腐ってしまいます。微生物の作用によって水分量を多く含む食べ物は腐敗しやすいです。そこで、保存料を使用することで腐敗を防ぎ、食中毒などを防いでいます。

保存料が使われる経緯としては、もともとたくあんは真空パックされた状態よりも、タルに詰められて市場などで小売される形態が主流だったのもあり、保存料を使って腐敗しないようにして、そのまま使用している場合も一部であります。

またソルビン酸Kなどの保存料はpHが一定以下でないと効果が出ないので、酸味料と一緒に使用することが一般的です。

保存料に関しては、食中毒防止のためにとても重要な立ち位置として考えられていました。

詳しくは別の記事で解説します。



6.香料

香料は、嗜好性を高める目的で使われます。
香料を使用することで、口当たりの良さを再現して食べやすさを追求することが一般的です。たくあんの本来の味は、噛めば噛むほど感じることができるうま味を多く含む種類の食べ物です。なので、本来の味だけだと口当たりの良さは見劣りするので、口当たりの良さを補うために香料を使用します。

基本的に香料は天然由来のものが使用されています。

主に「シソ香料」などが使われています。



たくあんに添加物が使われる理由

ここまでを読んでいただきありがとうございます。

勘の良い方は気づかれたかもしれませんが、ここまで読んで
「食品添加物を使わなくてもこれらの効果は再現できるのでは?」と思われた方もいるかもしれません。

酸味料を使わなくても、レモン果汁などで酸性に近づけたり、
香料を使わなくても、実際にシソを使って再現すればよい、
などです。

食品添加物でこれらを再現するのは大きく2つの理由があります。

低価格で実現するため

たくあんを作る会社、たくあんを作る人の想いとしては、「より多くの人においしく食べていただきたい」という想いがあります。

より多くの人に食べてもらうためには、なるべく購入しやすい価格で届けることが重要な要素の一つです。

他にも、現実としてはスーパーマーケットに陳列してもらうために、小売店などに流通手数料を支払う必要があり、なるべく低い費用で作る必要を迫られます。

たくあんに、食材を保存目的で使ったり、嗜好目的で使うと、原価が高騰してしまい採算が合わなくなってしまいます。
(スーパーマーケットに行くと、大根と同じくらいの価格でたくあんが売られていることを見たことがある方もいると思います。)

なので、大量生産して人手が少なくても作れるようにして、原価を抑えるために食品添加物が使用されています



均一に実現するため

もう一つの理由としては、品質面です。

たくあんは、大根の漬物なので大根の素材に品質が左右されます。

しかし、大根も一本一本、人と同じように個性があります。それらの個性を均一な品質にしなければスーパーマーケットなどで取り扱えません。
(先週買ったたくあんはおいしかったけど、今日買ったのはまずかった、というのは受け入れられない人がいると思います。)

それぞれの個体差をなるべくなくして、均一な味付けにする目的で食品添加物が使用されています。



以上がたくあんに食品添加物が使われる理由でした。

当然ですが、食品添加物は国が認可しているものが使われているので安全性は担保されていますので、安心して食べてもらって良いです。

個人的な結論としては、「食品添加物を使わずにおいしく安全にたくあんが作れれば良いけど、大量生産で安く買ってもらうためには難しい」ということでした。